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大陸性ステップ 旅と音楽。

旅や音楽の記録。

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東京では誰も席を譲らない?

この前東京に帰ったときに、ちょっとショックだったことがあって、それは、老人に席を譲らないこと。

タシケントで必要なものを買出しに出た帰り、ちょうど退勤時間帯だったので、席は働き盛りの人たちで埋まっていたのだけれど、ある駅で大きな荷物を持った老婆が乗り込んできて、出入り口付近に立っていた私は、たぶん誰かがすぐに席を譲るんだろうと思っていました。

でも、席に座った20代30代くらいの誰もが、スマフォを触ったり漫画を読んだりしているだけで、老婆に気づきもしないで、当然誰も席を譲らないのでびっくりしました。

私は、電車に多くの人が乗っているのに、まるで自分の部屋に一人でいるかのように振舞うことに違和感を感じていました。かと思うと、電車で赤子が泣けば嫌な顔をしたり、妙に他人の振る舞いに文句のある人が多かったり、いったい、他人を意識しているのか、していないのか、どっちなの?

震災後に、日本中のメディアに「絆」っていう文字が溢れたことがあって、私はなんだか同調できずに嫌な気分になっていたんだけれど、もしも本当に日本人が絆を大切にするのなら、老人に席を譲るくらいのことはできるだろうに、と思ったし、災害が起きたときに絆、絆とお祭りみたいに騒いでも、日常で他人への気遣いができないのなら、そんなの無いようなものだな、と思いました。

ウズベキスタンでは、老人や婦人は敬われるので、電車で座っている人たちは、いつもそういう人が乗ってきたかどうか確認するし、さっと席を立って譲るのが当たり前の行動になっています。そういうのが絆だよねえ。

面倒くさいくらいコミュニケーションを求められるタシケント暮らしがちょっと懐かしくなった一幕でした。
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とにかく出たとこ勝負

さて、

日本での短い休暇から帰り、何事もなかったかのように活動は再開しています。

JICA協力隊員は休みの長い人が多いようで、2ヶ月休みだなんだと聞こえてきますが、私のところは職員も皆出勤しているし、結局試験休みの数日と、帰省の11日だけ休みということになりました。(あ、他人と比べちゃいけないんでしたっけ)

結局家にいても暑くてだらだらするだけなので、出勤でも構わないのかもしれませんが、気持ちは憂鬱です。

ある日出勤すると、10時からITルーム(私の常駐する部屋)で教職員向けの講義があるので準備して!と言われました。前もって聞いてませんでした。

10時になってぞろぞろと受講者である先生方がやってきて、着席して、講師役の同僚Q君がやってきて、その段階になって、天井に取り付けてあるプロジェクターを使うためのソフトウェアが無いので、私のノートPCを貸して!と言われました。

講義があってプロジェクターを使うことがわかってるならなんで前もって準備しておかないんだろう?と、いつものことながら思うのです。

当初、講習用のPCの1台を使う予定だったらしいですが、講習用のPCは18台しかなく、受講者は18名なので、使えないはずなのです。それに、もしも受講者が来てなくて、講習用のPCを使えたとしても、そこにはプロジェクター投影用のソフトウェア(ネットワーク経由)が入ってないので使えません。

結局私のPCを借りないと講義ができないということになって、開始という段になって貸しました。私もしたい仕事があったのですが、しょうがない。

このように、出たとこ勝負になってしまうことは、今回だけではなく、だいたいこの国で仕事をするときには、前もって策定された計画はなく、ある日関係者が一同に会して、その場で課題が与えられて、その場で口頭ですることを決めて、その場でやっちゃう、というケースが多いです。

だから、私がラボを作って色々検証したい、という希望を伝えても、何週間もかけて、回線と機器を自由に使って色々と試す、という意味が理解されずに、今日の夜は回線が空いてるから検証してもいいよ、などと言われます。検証というのも、その場ではじめてその場で終わるもの、だと考えられているからです。

私は、いかなる仕事も準備ありきだと思っているほうなので、こうした出たとこ勝負で間に合わせの仕事をするのが嫌なのですが、この国では往々にして出たとこ勝負で仕事をすすめている側面があるので、頭からそれを否定するのも憚られます。

ちょうど、池上彰さんの本を電子書籍で読んでいて、これから発展する国は、書籍が豊富に売られていて、若者が熱心に本を読んでいること、という一説がありましたが、この国は残念ながら本屋や雑誌のスタンドが極端に少なくて、人々が本を読んでいるのを滅多に見かけません。

新興国によくあるパターンで、高学歴重視な国なので、わが職場でも一生懸命スタッフに修士を取らせようとしたりしていますが、学校に行かすだけで本を読むようになるとは思えないし、学校へ行かせたら論理的思考が身につくというわけじゃ無いと思うんですよね(ちょっと言いすぎかな?)

本をたくさん読んで先人の考えに触れることで培われる論理的思考というのはあると思います。

コンピューター業界で仕事をするのに必要なのは現場経験とか、とにかくコードを書くとか、実務だと思うので、コンピューター業界で働くために修士とか博士みたいなラベルは全然要らないと思います。でもとにかく学歴ないと箔がつかないと考える人が多いようですね。

聞き捨てならない

聞き捨てならない父の一言

父と会話していて、こんな一言がありました。

「まったく、イスラム教徒ってのはひでぇもんだな。仲間内で殺し合いをしたり、テロをしたり」

イスラム教の国に幸せに暮らす私としては、ここは否定しておかないといけません。

「イスラム教徒は、世界に16億人いるんですよ、当然、善良な人が殆どなんだから、一部の過激なグループの人々が過激な行動をするだけで、イスラム教徒はひどいなんて言うのはおかしいです。げんに、私は普段から善良で温厚なイスラム教徒と住んでいるのだし、これまでにもイスラム教徒にはたびたび助けられているし、むしろ親切な良い人たちが多いんですからね」

実際に、マレーシアでもインドネシアでも良い友達ができたし、タイのムスリムの家族は人生の恩師とも言えるアドバイスをくれたし、今はウズベキスタンで、生真面目で善良なムスリムたちが、助け合ったり分け合ったりしているのを見ると、とてもじゃないが納得できる発言ではありませんでした。

うちの父は、海外経験もなく日本で職人一筋に生きてきた、きわめてローカルな人だと思います。善良な気持ちで、日々テレビで放映されるシリアの内戦や、エジプトの混乱を見るにつけ、イスラム教徒はひどいもんだ、という認識を持ったのでしょう。だから、知っていて差別する宗教差別的な発言ではないと思っています。ただの横丁のおじさんの感想といった発言なのです。善良な市民である父に、変なゆがんだ知識を植えつけているのは誰なんでしょうか。

うちの父はテレビで情報を得るのを好みます。テレビで見られることがつまり世界で起きていることだと考えているんでしょう。

イスラム教徒、とひとくくりに言っても、その中にスンナ派とシーア派があるだとか、さらに細かな学派に分かれていて、過激なことをしている人々がどの部分に属していて・・・ということは、ただの善良な市民であるうちの父の知るところではありません。テレビが好きな父が米側からの視点をもとにしたテレビの報道でイスラム=悪という印象を持ってしまうのは仕方が無いと思います。旧ソ連の国で、ロシアメディアを見ていると、日本の報道はずいぶんアメリカ寄りの視点に立っているのだな、という印象を持ちます。

思うに、テレビは、またイスラム教徒が過激な事件を起こした、という報道はするが、じゃあイスラム教というのは何か、というバックグラウンドまでは伝えないし、日本ではそういった教育はされない、という要因があります。普通の、街の日本人にとってはイスラム教徒っていうのが少数民族みたいなものだと思っているのかも知れません。実際は日本人こそが世界の少数民族みたいなものなのに。その点ではソ連~ロシアの人々は、そもそもイスラム教徒やシベリアの方の仏教徒をソ連人として内包していたことから、イスラム教徒に対する変な偏見は少ないと感じています。

父のような人の誤解を解くためにはなにより、善良で健全なイスラム教徒に出会ってもらうしかないと思うので、マレーシアやインドネシアや、中央アジア諸国を連れ回したい気持ちがふつふつと芽生えてきます。

じつはこういった体験は初めてではなく、私が子供のころにも父は、中国に行ったこともないのに「チャンコロはどうしようもないな」というような事を言っていて、私は内心、そういった大雑把な決め付けに疑問を感じていました。高校卒業後に中国に渡るために中国語を勉強して、実際に1年間中国に渡って暖かい人民の人たちのホスピタリティに触れて、そういうことを書いた手紙をしきりに実家に送るようになってからはさすがに父のそういう発言は鳴りを潜めました。

今思うと、私が世界に関心を持ったきっかけはひとつではないですが、私の父の思い込み、決め付け発言が本当かどうか知りたい、もしも違っていたら父の意見を訂正したい、という気持ちも確かにあったと思います。

先日の帰国で、中国や韓国の対日感情が何年か前にくらべて何パーセント悪化した、というニュースが2分くらい流れたときに、父は言いました。

「お前は20年前、いいときに中国に行った。今は大変だぞ」

やれやれ。実際には私は2年前に再度中国にゆき、彼らが何も変わっていない、むしろ人々の表情は明るく、良くなっていることを確認しているので、その発言にも反発を覚えましたが、色々と説明するのも面倒になってしまって特にコメントはしませんでした。

湿度70%の街

先週、すこし日本に帰っていましたが、日本の夏ってあんなに大変だったのか、という新しい発見がありました。

湿度70度の世界。洗濯物もなかなか乾かないし、かいた汗が全然蒸発しないのでいつまでも頭やシャツが濡れていて、気化熱で冷めるわけでもなくずっと頭と体がぬるい。着いて2日目くらいで「はやくカラカラのタシケントに帰りたい!」と思わず思いました。

タシケントを出る前はちょうど猛暑がやってきていて、気温が41度(街頭は45度くらいになっていたはず)でしたから、つらいなぁと思っていたけれど、夜になれば涼しくなるし、日陰に避難していればそれなりに過ごせる。でも東京の夏は、夜になってもずっとサウナだし、30度を下回らない。あんなに、ずっと冷房をつけていないと過ごせないとは思わなかった。

おりしも、日本には歴史的な猛暑が訪れていたようで、国内最高気温が更新されたというニュースがありました。東北では大雨で家が流されたり、帰国前日には私の実家のある横浜をひどい落雷が襲って停電。あんなのは生まれてはじめて。

今日のロシアテレビ

今日のロシアテレビ

モスクワで世界陸上が開催中で、私はあまりチャンネルを意識しないでいるのですが、ロシア語テレビをつけるとつい陸上競技をやっているので見ています。

夜になったら、League s-70っていう格闘技の大会をやっていて、そのものものしさから判断するに、結構大きな大会みたいなのです。

sはSamboのsなのだろうから、コンバットサンボの大会なのかな、と思って見ていたが、見た目はどうやら総合格闘技? 今冬の五輪開催地であるソチで開催されています。今はインターネットが殆ど駄目なので今度よく調べてみます。

カザフスタン、ラトビア、ロシアなどCISのロシア語圏の選手たちが野郎っぽく殴り合っていました。

観客もちょっと怖そうなロシア人ばっかりで、ほんとこわい。そしてその観客席の最前列には、プーチン大統領、メドベージェフ首相、カザフのナザルバエフ大統領が仲良く並んで観戦しています。笑!ほんとこわい。

ロシア人の格闘家は、無表情でこれでもかという美しい顔をしているので、それはそれで怖いんですが、冒頭に出てきた数名のカザフスタンの格闘家が、もう狂犬のようなただならぬファイトをして、こわい!ああいう人と夜道で出会いたくないです。

日本・雑感

実家はよいです。2人の姪の遊び相手をして過ごしています。

ところで、最近の日本のニュースというと、

猛暑。水難事故。突発的な大雨。そして汚染水。

東北の大雨では土砂崩れで民家が壊れたり、不幸なことに人が亡くなったりしているし、福島の原発からは毎日300トンの汚染水が海に流れているという、なんとも不安になるニュースが連日報道されており、この国、まだ震災後の不安をどこそこに残したままなのだなと改めて思いました。

毎日300トンの放射能を含んだ水を、たとえせき止めたとしてもそれはどこに置いておけばいいのか、海に流さないならば巨大なプールでも作って放射能湖にしてしまえばいいのか、素人考えではまったくわからない。

東電任せではなく、国として・・・と首相はおっしゃっているけれど、震災からもう2年半が過ぎて、それでもなお国がやるのか電力会社がやるのか、それさえはっきりとしていないのだな、と改めて思った次第です。

きっとこれから10年も20年もかけてリカバリしてゆかないといけないわが日本。

いつかウズベキスタンの人に、「日本は決してセキュアな国ではないのよね?たとえば水害もあるし、地震や台風、おまけに原発」と指摘されたけれど、そのとおり、日本はいつだって災害に見舞われていて、平和な大地のウズベキスタンとは似ても似つかない。

311後に生まれた子たちは成人するまでずーっと放射能だの汚染水だのというキーワードが、呪文みたいにまとわりついたまま生きてゆくのかと思うと、負けずに強く生きて欲しいなと切に思います。

マッチ

タシケントの空港で、ライターを取り上げられたので、帰国してからはずっとタシケントから持ってきたマッチを使っていた。

しかし、どうもタシケントにいたときのように火がつかなくなってしまった。マッチは日本の湿気を思い切り吸って、あまり燃えなくなってしまった様子。そりゃー、湿度10%の世界から70%の世界に来たのだから、さもありなんだけれど、タシケントで便利に使っていたものが、国境を越えたとたんに意味をなさないモノになってしまうのは、どうも浦島太郎の物語を思い出させて物悲しいと思う。

そのかわり、コンビニに行けばありとあらゆるモノが買えるし、ジュースだけであんなにたくさんの種類があるのは、タシケント暮らしに比べるといかにも天国。必要なものを買うために炎天下でタクシーに乗ったり、電車に乗ったりする必要が無い。


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自己紹介

自閉な子供→ヒッピー→フリーター→IT会社員→ウズベキスタンで協力隊→無職→近所に就職。今後はたくさん旅をします。ときどき音楽の話題も。

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