ヌクスから帰る列車は、タシケントまで25時間かかる。長旅なので、楽な一等を取ろうと思ったけれど、あいにく一等は売り切れで、二等にあたるプラツカルタ(開放寝台)の切符が取れた。ちなみに、特等が2人用個室、一等が4人用個室、2等が開放寝台。
海外で寝台に乗るなんて久しぶりのことなので、盗難対策をどうしようとか、2つのかばんの配分をどうしようとか、事前に少し不安があった。あとは、
ロシアのサラトフというカザフ国境の街からカザフを横断してタシケントへ向う列車の2等寝台だとどういう客層がどっから乗ってきてるのか(それによってセキュリティ状況が違うので)を考えたけれど、そういうことは開けてみたいとわからない。
ホームに入ると、親切な駅のメカニックらしいおじさんが「バムカコイバゴン?(何号車?)」と聞いてきたので、「一号車です」と答えると、「ホームの、あーっちのほう」と指差してくれた。
すると背後から女性が声をかけてきた。
「あんたも一号車?わたしも一号車。一緒に行きましょうよ、ここに座んなさいよ」
見ると、足元にはでっかいバッグ。つまり一緒にホームのあーーっちまでカバンを運んで欲しいということだと思う。ウズベク語とカラカルパク語だけれどなんとなく会話になる。
時間になっても列車が来ないので駅員をつかまえると、パルタリチサ(一時間半)の遅れだそう。この暑い、直射日光のあたるホームで待つのはしんどいけど、カラカルパク人たちはタシケントの人と違って直射日光の中でも平気で待っている。「一時間半の遅れですよ」というと、不平不満を言いながら、それでも待つ。
列車がやってきたので眺めると、窓から覗く顔・顔・顔。どれも浅黒く日焼けしたウズベク人の顔だった。それに、溢れるばかりの荷物が積まれているのが窓の外からもわかる。
同行の女性は目当ての一号車に向けて走り出したので私もつられて走った。一号車の乗降口では、ひどく大きな荷物を次々に降ろすウズベク人と、我先に乗り込もうとする乗客が押し合い、へし合いして、ウズベク人の車掌は「早く下ろせ!」と怒鳴っている。どうなっちゃうの。
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