ミシェルンデゲオチェロの新譜を聴いて、すごく良かったという話です。今、アルバムという概念も薄れていますが、アルバムを頭から2回リピートして聴いたのは私にしては珍しい。
そもそも、ンデゲオチェロを聴き始めたのはFaggotの頃だから、2枚目から。でも、すぐに1枚目も手に入れて、いずれも大のお気に入りでした。
3枚目、Bitterは、突然のアコースティック、シンガーソングライターのアルバムだったので、驚きましたが、その時期に、彼女がJoni Mitchellのアルバムを全部持ってるとインタビューで語るのを見て、ああ、そういう人だったのか、と納得しました。ちなみに私も10代の頃にはJoni,全部揃えていたなあ。
本来は彼女のFunkが好きだったけれど、Bitterもそれはそれは美しい出来だったので、好きだった。
そして、Cookieは思い切りHip Hop方面に振れていて、これもたいそう好きでした。
それ以降、どんどんジャンルを超えて、SSWというよりベーシストになっていった感じがして、バークリー音楽院で先生をしているとか、聞いて、もう歌ものを作らないのかも、という先入観もあり、あまり聴かなくなりました。
Comet Come to Meはいちおう買って、聴いて、そのまま。
そして、今回、カバーアルバムを出すというニュース。曲目はほとんど私も知っている、有名曲で、えー、ンデゲオチェロが、この曲目で、という驚きがありました。そして、とうとう買って聴いてみて、なんと、新鮮なンデゲオチェロ体験かと。
この人の音楽は難しいし、ちょっと難解な気がします。それに、音楽に少し聞き手との距離を置くような、独特な冷たさがあり、そこが魅力なんだけれど、一緒に歌うような音楽の作り手ではないと思っていたんです。
しかし、この新作、耳慣れたあの曲、この曲なので、自然に一緒に口ずさんでしまって、まさか、ンデゲオチェロの音楽で口ずさむ体験ができるとは、思わなかった。
しかも、それはありきたりなカバーではなく、当然ンデゲオチェロ先生なので、もうとことん料理しているのです。元曲を単に食材に戻して、その食材でとびきりのご馳走を調理したような。
殆どが生の楽器で再現されていて、シンガーソングライターとしてのンデゲオチェロが帰ってきたというのも感激した点でした。雰囲気は意外にもBitterに近いかもしれません。
どれも知った曲なのに、それはまるでンデゲオチェロ世界の音楽で、さすが、と唸らずにはいられません。
故PrinceのSometimes it snows in Aprilでは、敬虔な追悼の響きを聞き取ることができるし、私の気に入りは、ラルフトレスヴァントの名曲、Sensitivityで、ギターによる生演奏を中心に愉快なバンド演奏に調理しているのです。
なにより、久々に歌ものに没頭するンデゲオチェロが大好きです。この人の大地から響くような歌声はやはり、唯一無二なのです。
この1stは重量版で再リリースされていたので一緒に購入。
ベーシストの音楽にはまっていて、Thundercatも。
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