Netflixでチャイルド44を観ました。
これは、トム・ロブ・スミスの大ヒットした原作をもとにした、サスペンス映画です。旧ソ連のシリアルキラー、アンドレイ チカチーロを題材に壮大なサスペンスドラマにしています。トム・ロブ・スミスといえばBBCのドラマ『London Spy』も面白かったです。
さて、『チャイルド44』、当時のソ連では連続殺人というのは資本主義の病気であり、共産ソ連では起きないと言われていました。そのためチカチーロは長い間逮捕されず、50あまりの子供を殺していたそうです。かわりにそれぞれの事件で冤罪の無実の者が逮捕されていたようです。ここまでが実話で、映画では体制側にいながらこの事件に疑問をもち一人真犯人を追ってゆく男をトムハーディが演じていますね。
かなりお金もかかっていて多く売れっ子俳優を配置しているにもかかわらず、どうも残念な出来というのが本音です。
一番の理由は私が名付けたところの、「ラストエンペラー問題」。
若い頃に『ラストエンペラー』という映画を見て、たしか溥儀が独房で看守と話をするシーンですが、登場人物が中国人にも関わらず英語で話しているんですよ。どう考えてもおかしくて、それ以降映画に集中できませんでした。
でも、西洋資本で英語圏の監督が、英語圏の俳優を起用して撮影している以上、英語映画にしないといけないのはわかります。無名の中国人俳優を起用したって興行収入を期待できないでしょうから。かといって有名中国人俳優を起用しようにも、日本占領時代がテーマでは中国政府の協力は得られないだろうし、俳優もバッシングを嫌って出演してくれないかもしれない。
そういうわけで、舞台が○○にも関わらず全員が英語で喋る不思議映画は昨今も多く撮影されています。人気ドラマセンス8では、韓国の監獄で韓国人が英語で話しているし、『Anthropoid(ハイドリヒを撃て)』では、チェコ人が英語で話しているし、この映画『チャイルド44』も同じで、舞台がソ連、登場人物が全員ロシア人にも関わらず全員英語で話しているのです。へんなの。
その上、英語もわざわざロシア訛りの英語で演技しているものだから、滑稽でした。そうすればゲイリーオールドマンやトムハーディがロシア人に見えるのかとでも。さらにエキストラは中途半端にロシア語を使ったりするのです。
題材は壮大でいいストーリー、トムハーディも熱演しているのに言語が気になって集中できず残念です。かといってロシアがこの題材で制作したり、著名なロシア人俳優を起用するのは難しいでしょう。ソ連時代の暗部を描いた映画なので、当然ロシアでは上映中止になっています。
そういうわけでラストエンペラー問題を解決するのは難しいかと思いきや、マーティンスコセッシ監督は遠藤周作の『沈黙』を、多数の日本人名優を起用することで解決していました。何事も解決策はあるものです。
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