私は、協力隊の活動について変に自虐的になったり、自分で自分を苦しめたりしない方なので、なんだか志の高い人が多いんだなぁなどと思います。
そもそも、若者が、2ヶ月ばかり言葉を習った状態で一人で村落に入って、二年で何か人助けみたいなことを成し遂げられるか、というと、個人的にはそういうことは無理だと思っています。私は協力隊に参加したいとは思っていましたが、自分ひとりで異国へ渡って何かでかいことができるとは、全然思っていませんでした。(だからといって何も準備していなかったわけじゃなくて、ちゃんと語学のトレーニング、実務経験はそのために積んでいたのですよ)
それは、18歳くらいからアジアの各地をまわって、働いたり住んだりしてみながら、自分なりに得た回答です。外国で一人で住んで、文化が異なる中でできることなんてたかが知れているし、住むだけ、コミュニケーションを取るだけで相当リソースを使うので、それでひと仕事できちゃったらラッキーだし、ひと仕事やり遂げなくてもミッションは充分果たしてる、と思ってます。
具体的には、私はネットワーク構築をしに来ているのですが、ちゃんと構築できたらラッキーなことだし、もし終わらなくても回線だけひければいいや、とか、回線がひけなかったり、プロジェクト自体が始まらなくても、現地スタッフと一緒に働いただけでミッションは果たしてる、って思っています。志はあくまで低く。とてもじゃないが、一人でがんばって人助けなんてたいそうなことはできません。
でも、じゃあ協力隊なんて要らない?人助けを成し遂げられないなら要らないんじゃないの?とは全然思いません。広い世界の一方に、お金持ちの国、日本があって、もう一方にはお金がない国がやたらたくさんある、っていう状況で、何もせずに自分の利益だけを追求してゆくことが正しい行いとは思えないからです。お金持ちの国として、ちょっとした援助はするべきだと思いますし、その実行部隊として協力隊が派遣されているのはすばらしいことです。
年間1500人くらいの協力隊が派遣されていて、その一人ひとりが自分のプロジェクトを満足に完了することができるなら、それはそれでスーパーマンなのですけど、20-39歳の日本国民のスーパーマンを年間1,500人派遣できますか?いやいや、協力隊に来るのは健康な普通の人だと思います。それに、そんなスーパーマンが毎年1500人も来てくれるならそれなりの報酬を払わないといけないけど、協力隊は無給で、少しの経費と住宅を貰ってるだけなのですから。
個人個人の胸の中では、やり残した感じとか無力感とか、ほんの僅かなことしかできないとか、いろいろ思いはあると思いますけど、代々、隊員が交代しながら続けていくことで日本人に対する信頼を高めたり、新規の派遣なら後任が活躍するための下地作りになったり、子供に教える仕事なら、子供たちの中に日本に対する(ほんの)少しの印象を植え付けることができたり、実際にできていることはいっぱいあるのだと思います。それに、自分個人の活躍というより、日本対○○国の外交の一部を担っていると考えると、協力隊の活動に自虐的な考えを持ったりはしないと思います。
個人として何かを成し遂げてやる、って気概を持って、志高く持つのはべつに悪いことじゃないけれど、それによって現実とのギャップに悩んだり、自分を苦しめたりして、挙句パフォーマンスが落ちてしまうのなら、逆効果だな、と思うこともあります。
私も、一番低い目標は「なるべく休まずに一緒に働く」っていうことなので、今日も笑顔で活動しています。幸いプロジェクトはノロノロながら進んではいますが。
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