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東引で二日目。
洗濯物は昨晩、宿のご主人が乾燥機で乾かしておいてくれたらしく、すっかり乾いて同じ洗濯干場にかけてあった。感謝。前日に行ってみた灯台が霧の中の幻のようで、まるで現実感が無かったのでもう一度徒歩で、そこまで行ってみることに。同じ道のりをたどるのも能がないので、昨日より少しショートカットしてみるべく、山の中の獣道を歩いてみる。地図通りに進んできた筈なのになぜか軍病院に着いてしまった。全然違う方向だった。この島の地図がなぜか分かりづらい理由は、地図上から軍関連の施設が省かれているのと、軍用の道路が地図から省略されているせいと気づいた。軍事秘密の部分なんだろうと思うけど、ミステリアスすぎる。舌打ちしながら元来た道に引き返して、別の獣道を試した。
島のくびれている部分で、両側に崖が迫っている場所に、朽ちた祠があって、その風景がとても良かったので、そこで暫く佇んで、写真を撮ったりしていた。車も人も通らないから、物音も無い。もしかしたら、視界にある軍の詰所に当番の兵隊がいるのかもしれないけれど、ここからでは少しもわからない。また歩き始めた。今日は、昨日と違って霧も出ていないし、時折晴れ間が覗くいい天気だった。灯台までの道も、道路に沿って行くのではなくて、わざと山を超えるルートを歩いてみた。これまで見たことのないような美しい風景。
もう、日暮れ近かったので急ぎ足で集落まで帰った。カップ麺を今晩のご飯にしようと、ひとつだけ買って宿に帰ると、女主人に「あなた、カップ麺でお腹がいっぱいになるの?」と、呆れた顔をされた。暫く部屋に備え付けのPCでネットサーフィンしていると、主人の小学生くらいの息子がやってきて、「あんた、201の人でしょ?宿の老板(ラオバン、経営者のこと)が、これ食えっていってた」と言って、暖かい焼きたてのパンをふたつ、くれた。親切に感謝。重ね重ね。私は、海外で現地の人に差し入れを受けるようなこと、これまでの人生でそんなに無かった。
夜が更けると、何故か外で大カラオケ大会が開催されている。あまりの大音量に何が起きているのだろうと外に出てみると、民宿の向かいの公民館みたいな家でカラオケ大会が開催されていた。そういえば今日は日曜日か。煙草を吸いながら、近所迷惑にならないのかな、などと考えていたら、会場からひょっと出てきたのは宿のご主人だった。差し入れのお礼を言うと、あんたも歌いに来なよ、なんて言われる。そういう気分でもなかったので飛び入り参加は遠慮した。なるほど近所の人々をみんな招いているから、文句を言う人も居ないんだなー。賢い。
中国の演歌が響きわたる離島の夜だった。
名産の紅麹炒飯を食べた。酒造の盛んなこの島では、酒造の副産物の麹を調味料に使う。
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