走り出せばやっぱり、どんなにがんばっても50kmが限界、という走りのボロバスは、あえぎあえぎ東北タイをゆく。
ひとつめの街について、他のバスと待ち合わせをするために40分も停車して、ただでさえ遅いのに要らない時間のロスをしてるのに、乗客はただむっつりと時間のすぎるのを待っていて、じりじりと焼け付く夕日が恨めしい。
そこで乗ってきたおじいさんは少し精神のバランスが崩れているようで、ずっと叫びながら車内を歩き回っていて、私は腕をつかまれてどこかへつれていかれそうになった。走るバスから私をどこへ連れて行くのか。
乗客は慣れっこになっているのか、またやってるよあのじいさん、という風情で見ている。
見かねて激怒した女性の車掌さんが、どっかからでっかいナタを持ってきて、「爺さん、これが見えるかい?ぶっころされたくなかったら静かにしな!」と一喝する。
発展したバンコクみたいな街の若者が、こんな何十年も前から続く東北タイのおもしろい風景を理解することができるのかしらん。
とにかく、もうおなかがいっぱいだ。
途中、豪雨が降って、バスのどの窓も閉まらないのでしょうがなくみんなバスの中央付近に身を寄せ合う。
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