私が子供の頃は冷戦真っ盛り、ソ連というと、私の家庭内でも学校でも、なんだかわからないけれど、北方領土を取り上げた、共産圏の危ない国、怪しい国というイメージだった。私にとっては今で言う北朝鮮みたいな印象だった。そして、アメリカの文化はどんどん入ってきて、アメリカの音楽を見たり、アメリカの映画やテレビドラマを見てほんのりした憧れを持ったりしていた。
だから、あれから20年以上の年月が経って、何のめぐり合わせか旧ソ連の国にやってきて、こんなに親切な、アジア的なホスピタリティ溢れる土地だとわかったときは驚いた。
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ウズベキスタンで世間話をしているときに、アメリカの話題になることがある。そういうときは決まって、彼らは眉をひそめて、アメリカは横暴で、何をしでかすかわからない国だ、良くない国だ、という。また、Russiaと中国が仲良くしているらしいね、という話題を振ってみると、「アメリカと中国が仲良くなるより、ずっといいだろ?」という反応が返ってきたり。
そういうとき、自分はすっかりアメリカ側の人間として育ってきたんだな、という実感があった。私がソ連は怪しい国だと思っていたあの頃、ソ連ではアメリカを良くない国だと教育していたのだろうし、普通にMTVをつければアメリカのヒットチャートが追えるようになって、若者がみんなジーンズを穿いている今に至っても、アメリカっていうのは、やっぱりなんとなく信用できない、怪しい国なんだろう。それはまるでうちの父親がいまだにソ連に良い印象を持っていないのと同じように。
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