最近、『グッバイ・レーニン』ていうドイツの映画と、『運動靴と赤い金魚』っていうイラン映画を見て、どっちもすっごく良かったです。感動するというと陳腐になっちゃうけど、なんていうか、とても気持ちのいい風が身体を吹きぬけたような、映画体験でした。
『グッバイレーニン』は東西ドイツの統一を背景に、離散した家族の姿が描かれていました。『運動靴・・・』は、貧しいイランの家族の面白くて優しい姿が描かれていて、ペルシャ語のなんとかシュモ?という響きも耳に心地良いと思いました。
私が好きな映画監督、この人の映画ならどれでも無条件で好き、という人は2名いて、香港のウォン・カーウァイと、スペインのペドロ・アルモドバルなのです。どっちも、ハリウッドじゃない、アメリカでもない人です。
私が見るものは、ほぼ9割がアメリカのハリウッド産なのですが、意識していたわけじゃないけど、やっぱり心から好きなハリウッド映画・ドラマっていうのには出会わないんですよね。結果的に好きな映画はハリウッド以外の映画になります。市場に出回るのも、ツタヤで借りられるのも殆どがハリウッドなので、なかなか見つからないのが残念ではあります。
ウォン・カーウァイは『恋する惑星』などが有名ですが、私は『欲望の翼(原題:阿飛正伝)』と『花様年華』がスキです。(余談ですが、『欲望の翼(原題:阿飛正伝)』のタイトルは多分魯迅の小説阿Q正伝のもじりで、原題のほうが素敵)
『2046』っていう、キムタクさんも出演している作品を見たら、なんと、『欲望の翼(原題:阿飛正伝)』と『花様年華』の続編でした。60年代の香港の様子ってすごい好きなのです。『2046』には、中華エリアの一流女優がいっぱい出てきます。それなのに、やっぱり主役はマギー・チャンとトニー・レオンだったのだな、と見終わってやっとわかりました。コン・リーの出演は短いですが圧倒的な存在感です。やっぱすごいわー。
アルモドバルの『トークトゥーハー(Talk To Her)』もやっと見ました。途中、歌手が歌を歌うシーンがあるのですが、この曲、聞き覚えがあると思って探ってみると、私の携帯に入っている曲でした。
ブラジル人歌手、カエターノ(Caetano Veloso)の、くくるっくくー(Cucurrucucu Paloma)という曲で、私はこの曲を、映画『ブエノスアイレス』(ウォン・カーウァイ監督)のサントラとして持っていました。甘い、テノールの歌声が官能的でさびしく、身もだえするくらい良いシーンなのです。
ウォン・カーウァイ監督は、中国語っていう共通言語をつうじて広く中華圏から俳優を採用していて、一方のアルモドバルもスペイン語、ポルトガル語圏(スペイン、アルゼンチン、メキシコやブラジル)から広く俳優を採用しています。メキシコのガエルガルシアベルナールにスペインなまりのスペイン語を話させたり、色々工夫があるそうですよ。日本語は日本でしか話されてないから、広く日本語圏から・・・というわけにいかないのがいまいち広がりを感じない理由なのかもしれません。
いやあ、映画ってほんとうにすばらしいものです、ね。
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