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朝6:30に黄金大酒店発。台湾に渡るフェリーは一日2便だから、遅刻して逃したら延泊しないとしけなくなる。バスがどのくらいで埠頭に着くのかも不明なので早めに出た。まずはタクシーを拾って仁徳公交站へ。市内にあるバスターミナルなのですぐに着いた。17元くらいだったかな。看板に従ってプラットフォームに行き、7:15に出るはずの埠頭行き定期バスを待っていたけどそれらしいバスがいなくて、職員の詰め所に聞いたら、「今出ていったのがそうだよ」「えええっ!」「まだ発車しないから大丈夫。待ってて!」ってああよかった。「両馬航線」っていうのが該当の路線の名前だけど、バスの行き先表示にそう書いてあるわけじゃなくて、ただの73番バスの表示がしてある。これは、説明されないとわからない。暫くして運転手が発車を告げにきてくれて、無事、バスに乗車。
埠頭のある馬尾地区までは、路線バスで一時間程度かかる。丁度朝のラッシュで、雨も降っていたせいかバスは超満員。途中から満員で乗車不可能になった。バスの入り口に料金の支払機があるのだけれど、とりあえずバスに乗ってしまってから、後で金を支払うのがスタイルのようで、バスの中ほどの人が料金を支払うのに、他の乗客が協力してコインをバケツリレー式に前の運賃箱まで運ぶような光景があった。というか、私も二度ほど1元硬貨のバケツリレーに参加した。雨なので、服を濡らしたくないおじさんが上半身裸でバスに乗り込んできて驚いたりした。そういうところ、大陸のあっけらかんとしたオープンさはステキだと思う。
乗車してから1時間以上過ぎて、バスは馬尾地区にきてるのに、一向に埠頭に着かない。本当はもっと早く埠頭に着いて切符を買いたかったのだけど。挙句のはてに、バスは何故か折り返しバス停みたいなところに停車して洗車まではじめてしまった。運転手に「埠頭へ行く?」と聞くと、「等一下!(まっててください!)」。不安だけどそのまま待っていると、漸くバスが出てどうやら埠頭へ向かっている様子。よかった。結局、馬尾福州港客運站についたのは8:30を過ぎてた。
とりあえず急いでターミナル内の桃源旅行社カウンターへ。フェリーのチケットは当日、乗船一時間前にフェリーターミナル内のカウンターで購入することは、前もって調べてあった。受付の女性にパスポートを提示して300元を払って、搭乗予約完了。ほっとした。少し外へ出て煙草を吸ったり写真を撮ったりした。人民元が少し残っていたけれど、ひと気の無い売店には特に欲しいものも売ってなくてそのまま日本に持ち帰ることに。それにしても、この馬尾福州港客運站はまたひどく辺鄙な場所にあった。貨物のコンテナがうずたかく詰まれた港口エリアの中にある。なかなか、アクセスが悪い。
喫煙所で煙草を吸ってると、かわいい女の子がライターを貸して欲しいと声をかけてきた。聞くと、上海で働く台北出身の女性だった。一番安く大陸に渡る手段としてこのルートを取る台湾人もなかにはいるらしい。
出国手続きを済ましたところでちょっと催して、トイレへ。利用する人が殆どいないようで水気が無い。個室のドアは閉まらないし、紙も無かった。用を済まして表に出ると、もう全員の出国手続きが終わってロビーが閑散としていた。ゆっくりあるいて桟橋へ向かうと警備の人民解放軍に「快点儿!(急げ!)」と怒鳴られたのもいい思い出。さようなら中国。また来る日まで。
岸壁には台湾側に向けて「和平統一 一国両制」とスローガンが。まだ、この両側は紛争状態にあるんだなと一瞬思い出す。乗りこんだ安麒輪は離港してすぐにスピードを出して、酷い揺れよう。船が波に乗り上げては海面に落ちて、ばっしゃんばっしゃんと、船が壊れるんじゃないかって程の音をたててる。波もかぶってる。まるで、洗濯機の中にいるみたい。さすがの中国人乗客も黙ってしまって、早々に眠ってる人多い。乗客は、私のような旅行者は殆どいなくて、中台双方の生活圏の人々が殆どに見えた。中年の女性が多かった。
90分の刺激的なクルーズ、台湾領馬祖、南竿についた頃には乗客は疲れ果てていた。台湾側にも、中国側と同じように中国に向けたスローガンらしきものが掲げられている。「枕戈待旦」と書いてあるけれど、意味は後で調べたところ、「武器を枕に朝を待つ」つまり、戦う準備はできている、みたいな意味なんだって。和平統一といって懐柔しようとする大陸に対して、結構好戦的な文句を掲げているのが、のんびりした台湾の印象となんだかちぐはく。
中国側の出国手続きと同様、台湾の入国手続きも簡素で、20名くらいしかいない乗客はさっさと手続きを済ます。私は、大陸で買った林檎をカバンに入れたままにしてあったのを見付かって、検疫の、はにかんだ男性係員に日本語で「これは、ダメ、です」と言われた。こういうところ、いきなり台湾風の人懐こさ。大陸には少ない。
フェリーターミナルで、明日以降の船の時刻やチケットの購入方法をチェックしていると、女性が話しかけてきてくれた。民宿をやっていて、1000元で泊めてあげるから来るようにと、名刺を渡してくれる。アジアの客引きにはだいたい警戒してるのだけれど、台湾では何故か安心してしまってカードだけ貰う。よく話を聞いてみると、彼女の民宿は港の眼の前にあって、明日の朝東引へ往く私にはうってつけだし、宿賃も安かったので、今晩の宿をお願いすることに。
部屋へ案内してもらうと、港を一望できるいいロケーション。綺麗なダブルベッド。これは時間が許すなら長期滞在させてもらいたいレベル。それからご主人の好意で余らしてた人民元を台湾元に変えてもらった。50人民元を200台湾元に。それから、Wi-Fiが使えるようになってたので、iPhoneを繋いで、久々にフェイスブックとかツイッターなど、西側のアプリを起動してみる。ちゃんと通信できるのが素晴らしい。大陸にいる間に読めなかった数々のリプライとか近況アップデートを読みながら、西側に来たんだなーって気分になってしまった。
午後は丸々予定が無かったので、地図を頼りに南竿を歩くことにした。港は島のハズレにあって、島の中心地へは少し歩いていかないといけない。地図を頼りに歩き始めたけれど、まあ酷い坂道で、すぐに息が切れて座り込んだ。島中が、40度くらいの坂道でできている!トラックやスクーターが普通に走り回ってるのが不思議なくらいだった。山を一つ越えて、島の中心部へゆくと、普通の漁村みたいな風景が広がっていて、一軒だけセブンイレブンが場違いな感じであったので、スニッカーズを買って食べた。お腹がすいていたから。島、といっても特段見るものがあるわけでもないから、山の中の小路を歩いて空港を見学にゆくことにした。山の上には畑があって、昔懐かしい肥溜めがあった。いまどき、なかなか見ないそれ。匂いも堪能しました。南竿馬祖空港は、典型的な地方の空港で、暇そうなタクシー運転手がベンチに座って終わらないおしゃべりをしてるような場所。軍と共用なので、時折軍用の大きなジェット機が離陸してるのが見える。手持ちの台湾元も少ないので、20元の缶コーヒー片手に空港見学。やっぱり、迷彩服の兵隊ばっかり待合室で暇そうにしてる。
空港からの帰り道で、八八坑道と馬祖酒廠を見学した。
民宿に帰ると、宿のご主人の息子さんらしい男の子が人懐こく話しかけてきて、私のカメラやiPhoneを、これは何?と聞くので、カメラだよと教えてあげる。そのとき、男の子がiPhoneで撮影してくれた写真をフェイスブックにUploadしたら、久々の近況アップデートだったせいか、多くの人が反応してくれて嬉しかった。部屋に帰って、煙草を吸おうとして灰皿が無いことに気づいて、突然思い出したけど、台湾ではホテルで喫煙してはいけないんじゃなかったっけ。急いで部屋に掲示してある周知を読んだらやっぱり、居室内は禁煙だった。でも、上階にテラスがあるのでそこで喫煙してくれと但し書きが。テラス好きの私はすぐに上階へあがると、ステキなベランダがあるじゃないか!あとは、ベランダに面したところにも部屋があって、洗濯機も設置されているから、ここで暫くのんびり滞在するのはいいかも知れないと思った。一週間くらい本でも読みながら離島で過ごしてみたい。
夜は、することが無いのでケーブルテレビのお坊さんの説教チャンネルを見てしみじみしていた。台湾のチャンネル数の多さにはいつだって驚かされるよ。
【参考リンク】
福州港桃源旅行社安麒輪馬祖11/4へ進む11/2(3)へ戻る
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