昨年末、レコードプレイヤーを買いました。
これ。
とてもハイエンドとは言い難い一番安いものですが、最低限レコードとしての役割は果たすので、満足しています。
どうしてレコードプレーヤーを買ったかというと、特に聞きたい盤があらかじめあったわけではなく、なんとなく音楽の趣味をもうちょっと充実したいから、という理由です。ミッドライフクライシスのうち、なのかも。
私が音楽を聴き始めたのは80年代で、その頃まだCDというのが無かったので、一番はじめの音楽体験がレコードでした。それで、その頃に集めたレコードも何枚も所有していましたが、私が海外に住んでいる間になぜか捨てられてしまっていて、今はありません。
それで、今の気分に合うレコードを買う日々が始まりました。
当初は昔のレコード、当然、CDでも持っている愛聴盤を中古で買っていたのですが、今、レコードショップに行くとかなりいろんな新譜が発売されていて、段々と新譜を買う事が多くなりました。中古レコードもいいんだけれど、やっぱり録音技術の発達や、単に劣化していないという理由で、断然新譜レコードのほうが音がいいからです。
それで、レコードで音楽を聴く生活というのを始めてみたら、まるで今までと違った音楽の楽しみ方が出来る様になりました。
この10年ほど、音楽というのはCDをMP3にリッピングしてポータブルプレーヤ、もしくはスマートフォンに入れて聞く、購入はもちろん曲単位でダウンロード購入して聞く、というスタイルになっていました。そうなると、ついつい好きな曲だけを選んで一曲リピートするようになり、アルバムという単位で購入しても実際に聞いているのはせいぜい2曲くらいで、アルバムを頭から聞くということは滅多に無くなっていました。また、音楽を聴くのは外出時、移動時だけで、家でゆっくりと音楽を聴くことも、殆どありませんでした。
でも、レコードだと物理的な盤を取り出して、プレーヤーにかける、と言う動作を伴うので、ながら聴きというよりはスピーカーの前に座ってちゃんと聞くようになります。頭から聞いても片面はせいぜい23分程度。座って聴いてもその程度なら時間の無駄にはならない。
これがCDだと80分もあるので、なかなか忙しい現代人がスピーカーの前に80分座ることなんて、できない。また、スキップできるCDは、好きじゃない曲は飛ばせばいいわけだし、やっぱり今のスマフォ的な聴き方になってしまいます。
レコードで、頭からちゃんとスキップせずに音楽を聴いていると、こうして真面目に音楽を聴くなんてずいぶん久々なことだなあ、としみじみ思います。
知っているアルバムでも、あ、こんな曲が入ってたんだ?こういう流れだったんだ?という新しい発見があります。
それで、今はレコードを集めるのに熱心になっているというわけです。
私はもともと、ソウル音楽のファンキーなものが大好きで、ジャンルでいうとそういうジャンルを中心に聴いてきたのですが、家で聴くようになってちょっと趣味も変わってきました。
家でゆっくりしているときに、あまりアップテンポ、ファンキー過ぎるものはちょっと避けるようになってきたのです。かわりに、もっとゆっくりした、ボーカルの入ってないもの、多分エレクトロニカとかアンビエント、というのになるでしょうか、とにかくそういうのを好んで聴くようになりました。
それで選ぶようになったのが、映画音楽です。映画のサウンドトラックはあまりボーカルものが入っているわけじゃなく、今どきな映画だと上質なエレクトロニカ作品であることも多く、家で、座って、レコードで聴くのに最良の選択でした。
さいわい、新宿にディスクユニオン シネマ館があり、新作から中古までいろいろと映画サウンドトラックのレコード盤が買うことができます。
最近買った中だと、ブレードランナー2049のレコード、それから、Good Timeのサウンドトラックはエレクトロニカの名手Oneohtrix Point Neverが手掛けていて、とても良い出来でした。
興奮して買い物をしても、すぐに情熱が冷めてしまうことも多いのですが、こういうソフトが無限にあるハードウェアの場合、そこから始まるソフトを探す楽しみっていうのがあって、1万円台の投資なのにかなり長い事楽しむことができることを改めて知ることになりました。
探せることなら、香港の歌謡曲のレコードとか、ロシアの80年代のレコードとか、そういうのにも手を出してみたいな、と夢が広がります。
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