熱で外に出れず、おまけに40度越えで寝られもせず、しょうがなくうちにあるロシア系DVDを見ていたら、いい映画があった。
私は、基本的には戦争映画ってマッチョすぎて好きじゃないから、この映画も前半に、ウズベキスタンのブートキャンプで新兵がしごかれるパートはちょっとうんざりしたんだけれど、後半、アフガニスタンに派遣されてからの物語がハードなんだけど叙情的で、目が離せなくなってしまった。
だいたいのあらすじ
18歳の新兵たちがアフガン派兵のために徴兵されて、フェルガナのブートキャンプでしごかれる。喧嘩やら何やらをへて仲良くなってゆく新兵たち。そしてアフガンに派兵される。はじめて知る戦場の現実。アフガニスタンの住民とのふれあい。しかし時は88年~89年、ソ連はすでにアフガニスタン撤退を決定していたが、なぜか第9部隊には撤退を知らされず、孤独な戦いを強いられてゆく。主人公のリョーシャは戦争について何を知ったか。
こういう感じなのだけれど、描かれ方は、一貫して昨日までやんちゃしていた18歳の兵隊の目線で描かれていて、イデオロギーは無し。そこがかえってリアリティを強調していたと思う。普通の人の目線で、びっくりしたり悲しんだりしながらストーリーが進んでゆくので、感情移入してしまってとても疲れた。
この映画を見て思ったことは2つ。
今、タシケントに住んでいるけれど、独立少し前まではウズベキスタンを含む旧ソ連は戦時下だったということ。
アフガニスタン侵攻で経済的に立ち行かなくなったことがソ連崩壊の要因になったのかどうかはわからないけれど、当時はソ連の一部だったウズベキスタンからも当然アフガンに派兵された兵隊がいたはずで、身の回りにもこの映画に描かれているような経験をした人がいるのかも知れない。この国の人口ピラミッドを見てみると、独立少し前の89~90年生まれの人がすっごく多いのだけれど、日本のベビーブームと同じことがこの国にも起きていたという推測ができるかもしれない。
88年に18歳ということは70年生まれで、私と同じ世代の人々がこういう体験をしていたのだということ。
仲間を殺されながら、戦った第9部隊なんだけど、この部隊は本部から忘れられていて、すでにソ連軍は撤退をはじめていたのに、撤退の連絡も受けずに戦っていたのです。なんか、どこかで聞いたことのある話で、玉音放送を知らずにジャングルに潜伏した日本の兵隊もいたのですよね。それがつい25年くらい前に、私と同年代の人に起きたことなんだ、というのが、ショックでした。それに、身の回りの人々を見ていても、妙に同年代の人が少ない気がするんですよね。
日本では未公開作品だそうですがDVDは発売されているとのことなので、もし興味があればぜひごらんください。
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