このまえ、テネリフェ空港ジャンボ機衝突事故の文献を読んでいて、一方の事故機であるパンアメリカン航空 1736便のパッセンジャーリストを読んでいたら、スチュワーデス(フライトアテンダント)に2名の日本人女性(在米の日系人かもしれない)の名前があった。
アメリカからカナリア諸島へのバカンスの乗客を約400名も載せたパンナム機なので、日本人や日系人の乗客はいるだろうと思っていたのだけれど、クルーの中に日本人(日系人)がいることは知らなかった。
わかるのは名前だけで、国籍はわからないので、日系アメリカ人なのかもしれないし、もしくは日本国籍の日本人で、日本人乗客にサーブするために雇用されていたのかも知れないし、当時のパンナムに日本人スチュワーデスを乗せる理由があったのなら、そういうの調べてみたいな、と思いました。
ちなみに、テネリフェ空港ジャンボ機衝突事故は、1977年、航空史上最悪の犠牲者を出した事故で、2機のボーイング747型ジャンボ機が空港で接触、大破、炎上しました。なお、犠牲者が二番目に多いのが日航ジャンボ機墜落事故です。
この事故は、背景としては色々あって、2機の最終的な目的地であるグランカナリア島のグランカナリア空港がテロにより使用できなくなって、狭いロスロデオス(テネリフェ北)空港に次々と国際便が退避してきたことで、
管制がさばき切れなくなる寸前の状態だったことと、衝突当時濃い霧が出ていて、2機のコックピットはお互いに見えなかった、また
管制官からも二機が見えていなかったこと、また、オランダ人、スペイン人(スペイン語話者)、アメリカ人が英語で意思疎通をしていて、互いに
英語が聞き取りずらかったこと、狭い空港にみっしりと飛行機がいて、
滑走路に2機のジャンボが同時にいる(一方は離陸準備)状況になったこと、などが挙げられるようです。
直接の原因は、KLM機が離陸を急いでいて、
離陸許可が出たものと勘違いして離陸しようとしたこと、管制からの「OK,離陸指示を待つように」という意味の指示が
無線の混線によりKLM機に届かなかったこと(OKの部分だけが聞き取れたんだって!)。
直後、異変に気づいたパンナム機から、管制とKLM機に向けて、「まだ滑走路にいるから離陸するな!」という意味の警告をしたのだけれど、その通信も混線によりKLM機には届かず。その後、管制とパンナム機の間で「滑走路を空けたら報告する」という意味のやり取りがあって、それはKLM機にも聞き取れていて、実際にKLM機のファーストオフィサーは、まだパンナムが滑走路にいることを認識したのだけれど、機長はそれを無視して離陸してしまった。それで、滑走路を移動中のパンナム機に、燃料を満タンにした離陸スピードのKLM機が突っ込む形で大破、炎上した。
結局、KLM機の乗客乗員248人全員と、パンナム機の乗客乗員396 人中の 335人が犠牲になったそうです。
KLM機がなぜか
ロスロデオス空港で燃料を満タンにしていたことも被害を拡大させています。それと、
迂回したことで労働時間が延びて、KLMの社内規定に抵触する云々で、急いでいたという遠因もあったようです。
こうして書き出してみると、この事故はいろんな偶然の積み重ねで起きたんだなぁ、と思います。天候、爆弾テロ、英語を母語としない人の英語、ロケーション、労働時間に燃料の補給、などなど。飛行機に乗るたびに思い出してしまいます。
偶然といえば、この事故を題材にしたドキュメンタリーで、KLM機の乗客の子供2名が、空港内で迷子になっていて、
乗り遅れそうだったところ、空港スタッフが探し出して機に乗せてしまったことを悔やんでいるコメントをしているのが印象的です。「私が見つけなければ彼らは助かったのに」と言っていました。また、本来KLM機の乗客は249人だったけれど、ロスロデオスにいるボーイフレンドの家に泊まるために1人の女性が強引に(スタッフには降機を止められていた)、ロスロデオスで降機して命拾いしているという逸話もあります。
ちなみに、この事故に関しては、Wikipediaにも詳しく書いてあるんだけれど、ナショナルジオグラフィックチャンネルのドキュメンタリー(Crash Of the Century)では、KLM機の唯一の生存者(ロスロデオス空港で降機したオランダ人女性)、存命のパンナム機のファーストオフィサーや、キャビンクルー、乗客、空港スタッフなどの当事者が出演して何が起きたのかを語っているので、リアリティがあり、涙なしには見られません。
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