鉄道の旅
初めての鉄道の旅。私は鉄道が大好きです。ウズベキスタンに来て初めての鉄道のたびに胸が高鳴りました。
駅に入るには身分証チェックとパスポート+切符のダブルチェックがあります。厳重。改札というのは無くて、車両に乗り込む際に車掌さんが改札をします。海外や日本の地方の鉄道では、列車の発車ぎりぎりにならないとホームに入れないケース多いですが、ウズベキスタンは特にそういうことは無いようで、発車30分前にはホームに入りました。
ホームは禁煙、ですが皆普通に喫煙しているので、タバコを1本吸いました。喫煙所も特に無いのです。売店は、申し訳程度に売り子のお兄さんが数名いました。後で気づきましたが、デッキの一部は喫煙可能になっています。
ウズベキスタンの列車は、開放寝台、4人のコンパートメント、2人のコンパートメントの3クラス制になっており、今回は4名コンパートメントを4名で占有しました。ひとり21ドル。高くもなく、安くもなく、かな。車内は、暑い。どうやら、走り出してからでないとエアコンが動かないらしく、停車中はとても暑かったです。
セキュリティのためポリスが一列車に2名同乗していて、ちょうど我々のコンパートメントの隣にポリスの詰め所がありました。誠実な感じの若い警官と駅につくたびにホームで世間話をしました。のちに、ヌラタを観光していたらその時のポリスが彼女を連れてデートに来ていて、再会を喜びました。
我々の車両は全部埋まってるはずなのに、途中の駅でどうやら席の予約が取れていないらしい乗客が乗り込んできて、車掌となにやら話した後に、車掌室やポリスの詰め所に乗車していました。いくらか貰って、席の無い乗客に執務室を提供しているようです。小遣い稼ぎ? それにしても追い出されたポリスたちはどこへ乗車するのかが気になりましたが。
夜中の二時頃に、サマルカンドで乗り込んできた若者のグループが、やはり席の予約を持ってないようで、勝手にコンパートメントを開けて空席を探したり、携帯で音楽をかけて大声で話したりしたので閉口しました。鉄道に乗るとハイになるんでしょうか。
ナボイからヌラタへ
朝の5時にナボイ着。待っていた運転手氏とヌラタおよびアイダルクル(アイダル湖)を目指します。ヌラタの町まで1時間、そっから湖までさらに1時間。地方の割りには車道の整備が良くて軽快に飛ばしてくれます。タシケントからチョルボックのほうが道路状況が悪かったです。風景は、砂漠に低いサボテンみたいな木がまだらに生えている、乾燥帯の風景。厳密には木が生えてるから砂漠とは言わないんでしょうか?
ヌラタの魚のモスク
ヌラタの町にはモスクがあり、済んだ水に魚がたくさん泳いでいます。魚飼ってるモスクって、モスクというより仏教寺院みたい。その裏手には自然に作られたような高台が。観光地になっているらしく、お土産を売るおばちゃんの屋台も出ています。彼女らはおもにタジク語で話していました。ヌラタもタジク語エリアなのかしらん。少年が、ちょっと危険そうな高台を、携帯でなにやらタジク語で会話しながらひょいひょいと歩き回っていたのが印象的でした。
アイダルクル
アイダル湖は、乾燥帯の中に突然ある塩湖でした。地図で見ると相当広いみたい。水はしょっぱくて、浮力もやや高くて面白かったです。水の透明度も淡水湖に比べて高いです。湖底も砂で全然痛くないのですが、急に深くなるのでちょっと怖かった。風が強くて、流されたビーチボールがあっという間に沖にながされました。
小さい魚が何匹も泳いでいるのが見えました。のちに、宿泊施設でアイダルクルの魚を食べましたが、鯉のような小骨があったのでどうやら淡水魚ですね。
サマルカンドからローカルの学生グループが遊びに来ていて、英語でしばらく世間話をしました。
この湖、とても良いのだけれど、周囲にまったく日陰が無くて!木はあるのですが低木なのでとても日陰にはならず、ビーチパラソルがあればよかった、と思いました。ちょうどその日は気温が高く40度を越えていたので、直射日光下は50度越えだったのじゃないかと思います。私てきには1時間程度の滞在でよかったですが、3時間くらい滞在して、まだ水に漬かりたいらしい若者たちは置いて、宿泊施設に撤収しました。
ユルタ
ユルタ(ロシア語。ウズベク語では、Utov)は、モンゴルのパオと言うと通じやすいかもしれないけれど、遊牧民が使う帽子の形の丸いキャンプです。一口サイズのアイス、ピノみたいな形をしています。今晩の宿泊はそのユルタで。値段はひとり50ドル。けっこう取るね。5名が1つのユルタに泊まれるようになっています。ためしに寝転んでみたけれど、風が通らないため日中はあまりにも暑くて、全然昼寝はできませんでした。かといって外の日陰に出ても砂嵐みたいなのが吹いてくるので、なかなかハード。
観光客にユルタを貸している宿泊施設なので、トイレやシャワーは手作りの感じのものが設置されています。トイレの水はちゃんと流れたけれどシャワーは水が出ません。電気も昼は止まってしまうようでした。ウズベキスタンの地方暮らしはなかなか大変そう。
宿のオーナーはロシア人の女性で、ちょっと話したところモスクワで工学を学んだ経歴があるとのこと。なんでこんな砂漠の真ん中で商売を?と聞いたら、「ここが生まれ故郷だから」とのことでした。いつ頃入植してきたのがわかりませんが、ソ連時代にはじつにくまなくロシア人の入植があったのだな、とちょっとびっくりしました。
ユルタの夜
夜はキャンプファイヤーがあり、宿泊客が火を囲んで、ギターの弾き語りの民族歌手が来て、お酒を飲んだり踊ったり。フランス語を話す家族連れがいたので「どちらから?」と聞いてみると、フランス語話者のスイス人家族でした。普通に、バカンスでウズベキスタンにやってきたそうです。バカンスでウズベキスタンていうだけでもレアだと思うのに、こんな地方にやってくるなんてすごい秘境趣味ですよね?と聞きそうになりました。あとから別の人に、日本のリタイアした世代向けのツアーにも、秘境を訊ねると銘打ってユルタに連れてくるようなツアーがあると聞いて、驚きました。
滞在中タバコが切れてしまって、4人で2個のライターを使いまわしていたら無くなってしまったり、1人が持っていたタバコを4人で分け合って吸ったりしたのにすごく不便を感じてしまって、私が非常に都市型人間であるのを思い知りました。タバコが無くなっても売ってるところも無いんだもん。砂漠の真ん中で。予めわかっていれば前もって予備のライターとかタバコを買っていったのですが、事前に何もしらず、「ユルタって何?」という感じだったので。
10人乗れるバンのレンタルが2日で300ドル
鉄道が片道21ドル
宿泊がひとり50ドル
で出費は約120ドル+食費でした。
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