最近日本のテレビでウズベキスタンの紹介が多い、と先日母がメールに書いていた。ウズベキスタンについて日本で紹介される際に、必ず出てくるのが、「ナボイ劇場」と「親日的」というキーワードだ。
しかし、私はなんだかそれらにひっかかる。ウズベク人の心優しいところ、私は大好きだが、ウズベク人が親日、という感じは、実際ウズベキスタンに生活していて全く無いからだ。反日ということもなく、しいて言えば、普通。
ナボイ劇場だけが残った?
ウズベキスタン・タシケントのナボイ劇場は、抑留日本兵が建築に携わり、市内の殆どの建物が崩壊した66年の地震でも倒壊しなかった。その逸話が、日本に伝わる際に若干オーバーになり、市内の建物が全滅したのに、ナボイ劇場"だけが"残った。だから日本人の仕事は素晴らしいと"現地の人が"たたえている、と伝わっているみたい。
しかし、実際には一番古い建物はアミールテムール広場にある法科大学のビルだというし、どうも他にも、どう見てもナボイ劇場並に歴史のありそうな建物はたくさんある。ナボイ劇場が残ったのは確かだけれど、べつにナボイ劇場だけが残ったわけではない、というのが本当。
だからウズベク人は親日的?
それに、現地の人がたたえている、というのもどうも眉唾だと思っていて、この逸話を言うのはいつも日本人で、現地の人から聞いたことは無い。確かに、ナボイ劇場にはカリモフ大統領による記念銘板が掲げてあるけれど、ウズベク人でそれを知っている人は結構な日本マニアだけで、実際には少ない。
ウズベキスタンが親日って本当?
台湾が親日、ウズベクは親日、トルコは親日・・・って、インターネットではよく見る説だけれど、ほんとなの?ウズベクに関しては、彼ら自身もよく言っているように、遠方からのお客さんは日本に限らず好きなんだよね。過剰なくらい歓迎してくれる。それを特に自分だけ歓迎されたと勘違いしてしまった日本人から広まっただけでは。
ファクトを確認しよう。
ウズベク人は、実際は殆どの人が日本と韓国中国の区別がついていない。もしも親日なのだとしたら、ソニーとサムスンをごっちゃに理解しないでしょう。プレゼンスは、KOICAの人数にしても大使館の立派さも、町中に溢れるLGとSamsungの看板にしても、明らかに韓国のほうが上です。出稼ぎ先としてもロシアについで二番目に人気なのが韓国。タシケントからデイリーで飛行機が飛ぶのはインチョン。
実際は別に親日じゃない。普通。
結論、ウズベキスタンが特に親日ということは無い。日本のインターネットの人たちが思い込んでるだけで、実際は、ウズベク人は日本のことを東のほうの目が細い人の国、くらいのイメージで理解している。で、一部のインテリ層以外は韓国と中国との区別もついてないし、ソニーとサムスンの区別もあやしい。
外国から良く思われたい日本人の気持ちが作った幻想みたいなもの
ウズベキスタンだけじゃなくて、台湾が親日だとか、トルコが親日だとかっていうのは、実際には眉唾で、ただ日本人(の一部の人)がそう思いたいだけなんじゃないかと思います。日本人はなにかと、外国の評価が好き。外国からどう思われているか知りたい。
(例)
全米が泣いた(全米さんが泣いたからって日本人には関係なくない?)
震災の際の日本人の行動に世界が驚嘆(一人の記者の感想が拡大解釈されてない?)
台湾は親日(でも反日親中派の馬総統が再選・・・)
ウズベキスタンは親日(いや、ウズベクはお客さんが好きなだけっすよ)
日本は好かれている!って思い込みたい人々をがっかりさせるようだけど、実際そんなもん。