ウズベキスタンにパーソナルスペースは無い?
私は通勤にバスを使っています。バスは、自家用車を持ってない庶民の足なので、英語を話す人などはまず乗ってないし、ウズベキスタンのウズベキスタンらしい人々が乗車しているのが普通です。
先日、さほど混みあっていないバスの中でのこと。私は窓によりかかる形で立っていたのですが、途中で青年が乗ってきて、私の真向かい、距離は顔と顔同士が15センチくらいの近距離、に立ったのです。つまり私の鼻先真正面15センチのところに知らない青年の顔が、あるわけで、心穏やかではいられませんでした。
そのときバスは空いていたわけじゃないけれど、もう少し遠い1メートルくらいの距離に立ってもらうほどのスペースはあったし、そうでないにしても、顔の向きをちょっと工夫して真正面じゃないところに立って欲しいな、と心から願いました。
でもこれは一回限りのことじゃなく、じつは毎週2度3度と経験することなんです。ひとことで言うと知らない人との物理的な距離が近すぎて怖い。私は知らない男性とこんなに近い距離に、立ったことは無いんですよ。知らない男性の顔をこんなに近距離に見ることも。バスが揺れたら顔と顔がくっついちゃうかもよ!?
学問にはパーソナルスペースという言葉があるらしく、他者にある一定の距離以上近づかれると不快感を感じる、その距離をパーソナルスペースというそうです。私は、せいぜい2メートルくらいしか、他者に接近したくなくて、普通それ以上は接近しませんし、相手が2メートル以内に接近してくると、不快な気持ちになります。バスとか電車で仕方なく接近してしまうときには、仕方が無いのでなるべく顔をそらして、身体が接触しないように努めます。
でもウズベキスタンの人は、あまり体が触れ合うこと、距離が近いことを気に留めない傾向があるみたい。距離が近いのなら、お尻を向けるよりは顔を向けたほうが良い、と思っている節もあるように感じます。
ただし、これは同性間のみで、異性の場合はなるべく意識して距離を置いているように思います。
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以前、日本から友達が来たときのこと。有名なレストランで食事をしていると、後ろの席に新しいお客さんが座りました。そのとき、新しいお客さんが椅子を引いて、それが我々の椅子に強くぶつかったので、友達はびっくりして、「私は後ろの客に攻撃されている、怖い」と言いました。これも、パーソナルスペースを重視する日本人はそういうことをしない、と言う前提があるから、そういうことをされてビックリした、ということだと思いました。
この国のレストランは割りと狭いエリアに椅子テーブルが詰め込んであるので、同僚と食事に行ってもよくパーソナルスペース問題が起きます。S君はウズベクらしい手足の発達した人なので、隣で何か食べていると、なにかとゴツンゴツンと、肘が私にぶつかってきます。私はそれとなく椅子を動かして距離を取りますが、彼は気づく素振りもありません。S君はとても思いやりがある、育ちの良い、対人態度に問題のある人ではないので、肘がぶつかることを全く気にしたことがなく生きてきたんだろうと、わかります。
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ほかにも、知人、同僚、他人を問わず、なにかと身体がぶつかったり、スキンシップが多かったり距離が近い、という体験は毎日あります。バスに乗ってる友達同士(同性同士)が、鼻がこすれちゃうような近距離に顔を近づけて何やら談話していたり、恋人同士でしかあり得ないような距離(抱きしめあえる距離?)に立っていることもしばしば。なにより、タシケントだと挨拶が握手して抱き合っておでこを互いにぶつけ合う、女性なら抱き合ってキス、っていうものなので、いまさら言うまでもないのかも知れないけど。
一度モスク(ハスティイモム)で金曜日の礼拝を見たとき、広場に絨毯を敷いて、大勢の男たちがみっちりとくっついてひざを付いて礼拝しているのを見ましたが、パーソナルスペースに関する意識の違いってああいう生活の習慣を起源としているのかな、などとも思いました。ということは、イスラム圏って概してパーソナルスペース無さめ、なんでしょうか。他のイスラム圏を良く知らないのでなんともいえませんが。
私はなるべく、バスで真正面の近距離に人が立つと、そーっとカニみたいによけて(気づかれないように)距離を取りますが、そういう行動もこっちの人から見たらおかしいのかも知れないです。