(その1へ)いくつか、印象に残ったシーンなどをあげます。
ドイツの収容所で、空腹の捕虜たちにパンが投げつけられます。まるで動物園の餌付けのようです。そして、プライドもなしにそれに群がるソ連兵たち。しかしクルバンだけは、少し離れたところでそれを眺めます。それを見た司令官は、「お前はユダヤ人か」と訪ねます。「ウズベク人です」と答えるクルバン。すると、特別にクルバンにだけシャワーが許可されます。
このシーン、ドイツをちょっと美化して、ソ連を貶めているようなところがあります。もともとウズベキスタンの愛国心を刺激するような映画なので、ちょっと作為的な感じもしてしまったかな。結果的にドイツもソ連もひどいことをしたのですから。でも、この際のクルバン役の俳優の表情がとても、良いのです。
それから、現代のシーン、アメリカ育ちのクルバンの息子は、いちおうウズベク語も話せるけど、自覚はすっかりアメリカ人なのです。しかし、父の独白を聞き、最後には自分はウズベク人という自覚を取り戻すことになります。
民族の自覚というの、大事だと思うのだけれど、一方で現実のウズベキスタンでは、特にタシケントでは、ウズベク人なのにウズベク語を話せない、むしろ好んでロシア語しか話さない、ロシア化してしまったウズベク人が増加しているので、実際は逆のベクトルだなぁなどと思います。
それから、これも現代のシーンですが、クルバンたちはロシアホテル(現グランミールホテル)に宿泊する設定になっていて、ロシアホテルの窓から前のラウンドアバウト交差点を見下ろすシーンが出てきます。うちの近所なのですが、今と全然違って建物が少なく、新鮮でした。2006年の映画だから、2005年頃のタシケントの風景っていうことです。もっとタシケントの町並みが撮影されていれば記録映画としても良かったのに、と思いました。
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